日本ファシリテーション協会関西支部の6月定例会に参加しました
日本ファシリテーション協会関西支部の6月定例会に参加しました。
6月のテーマ
6月のテーマには以下のものがありました。
- 合意形成までの〈過程〉でもっとも大切なこと
〜南三陸漁業復興支援の現場から〜
- ワークショップがぐっと良くなるプログラムデザインのツボ
- 〜 サモアンサークルをやってみよう!? 〜
今回は「合意形成までの〈過程〉でもっとも大切なこと」に参加しました。
このテーマの概要は次のとおりです。
話しあいの場においては、最終的に参加者間の合意形成が必要となることが多々あります。限られた時間の中で、質の高い、そして皆が納得できる結論に到達できるよう、支援・促進する。そのような場をつくろうと思った時、もっとも大切にしな
ければならないものは何でしょうか?
本テーマでは、津波被害からの漁業復興に取り組むある地域の事例をベースに、【合意形成のための話しあいに至るまでの<過程>において大切にしたい働きかけ】を考えます。
なお、「話しあいの場におけるファシリテーション」でも、「話しあいの場のプログラム・デザイン」でもなく、「話しあいの場に至るまでのプロセス・デザイン」を中心に扱いますので、具体的なスキルやテクニックを身につけるというより、一人ひとりが自分自身の「大切にしたい姿勢」を見出すことをめざしたワークとなります。ご了承ください。
このテーマは次のように進んでいきました。
- はじめに
- 支援室紹介
- ワーク1
- ワーク2
- わかちあい
- ふりかえり
- おわりに
ワークショップの概要
はじめに
徳田太郎さんによるアイスブレークがありました。
体を動かすことで参加者同士が打ち解け合うことができ、うまくワークショップに入ることができました。
支援室紹介
災害復興支援室の南三陸での活動内容についての説明がありました。
その中で、今回のワークショップで取り扱うある町(X地区)の様子が説明されました。
ワーク1およびワーク2
ワークショップでは、ある町でボランティアをしているAさんの友人という想定で行われました。
AさんはX地区のある漁業関係者から復興についての考えを聞きます。
そして、漁師さんたちで話し合う必要を感じたAさんは、ファシリテーションを学んでいる"わたし"に連絡をしてきました。
Aさんは8月16日(火)〜20日(土)の5日間、"わたし"は18日(木)〜20日(土)の3日間現地を訪問します。
また、漁師のコアメンバー全員が揃うことができるのは訪問最終日の20日の7時〜15時しかないことが分かりました。
そこで、今回の課題です。
- 8月20日の話しあいのゴールは?(どこまでを合意形成するイメージ?)
- 8月20日の話しあいのタイムテーブルは?(何を、どのような手順で話しあっていくイメージ?)
- 8月20日の話しあいの参加者は?(コアメンバー4名だけ?それとも他の人を呼ぶ?)
- 今日(仮に8月11日として)から訪問日(8月18日)までに、話しあいの準備として、あなたは何をする?
- 8月16日〜17日の2日間、話しあいの準備として、Aさんに何をお願いする?
- 8月18日〜19日の2日間、話しあいの準備として、あなたとAさんは何をする?
まず対象となる町の情報を収集した資料を精読しました。
結構なボリュームの資料で、個人で考える時間のほとんどの時間がこの資料を読む時間で使ってしまいました。
次はグループでのディスカッションです。
資料には、次の内容がありました。
- X地区単独での復興は難しいこと
- Y地区とは一部で協力して事業を始めていること
- Z地区とは確執があり、共同での復興に障害となりそうなこと
- X地区のコアメンバーの中でも意見が分かれていること
僕の考えた「8月20日の話しあいのゴール」は、次の通りです。
- コアメンバーの復興のイメージ(ビジョン)をまとめる
グループ内では、3地区合同での復興への合意などの意見も出ました。
しかし、訪問時間も短い上にメンバー内でも復興へのイメージがばらばらであったため、そこまでを20日にもっていくのは不可能であると思いました。
グループ内で議論した結果、話しあいのゴールを次のようにしました。
- コアメンバーの復興の目的/目標
次にタイムテーブルです。
僕は漠然と次のようにしか考えることが出来ませんでした。
- 前半: みんなの意見を発散する
- 後半: 共通イメージにまとめていく
グループ内では、午前中にゴールを決めて、午後からは食事+お酒で親睦会ということになりました。
「話しあいの参加者」については、話しあいのゴールが「コアメンバーの復興の目的/目標」を明確にすることにあるため、コアメンバー+地区の有力者としました。
Aさんにお願いすることとしては、コアメンバーおよび地区の有力者からお酒を飲みながら本音を聞き出すということになりました。
グループには農協関係者がいて、「みんななかなか本音のことを言ってくれないから飲みニケーションが必要」ということをおっしゃっていました。
個人的には、飲む/飲まないはどうでもよかったのですが、情報収集をすることは必要だと思いました。
"わたし"のする「話しあいの準備」はどのようにまとまったのかはよく分かりませんでした。
僕の考えた準備は、コアメンバーが復興のビジョンを決めるために必要なデータを収集することでした。
"わたし"とAさんのする「話しあいの準備」は、Aさんが事前に収集した情報をもとに、20日の話しあいのデザインをすることとしました。
ふりかえり
話しあいで合意形成をめざす際に大切にすることについて、個人でとグループでふりかえりました。
個人的には、以下の点を挙げました。
- 話しあいの参加者にとっての価値
- 当事者で議論すること
グループでは、他にも以下の項目が挙がりました。
- 安全な場
- 納得感
- 本音を引き出すこと
- 場の力にこだわりぬく
参加してみて
「合意形成までの〈過程〉でもっとも大切なこと」は、合意形成の場に臨むまでの準備をどこまでやるかだと感じました。
グループでのふりかえりで挙げられた「こだわりぬく」という言葉がしっくりときます。
真摯に誠実に「こだわりぬく」ことにより、当事者たちが納得する合意を得ることができるのだと思います。
また、テーマとは関係がないですが、議論の構成メンバーを考えることもとても重要であると実感しました。
正直、準備の段階から話しあいの当日まで「お酒」から離れられなかったのは残念でした。
その他には、ファシリテーターとは何かということについて考えてみました。
話しあいのゴールに具体的な復興案(三地区共同の復興)への合意といったものもありました。
これが果たしてこのX地区のコアメンバーの話しあいのゴールになり得るかというと、必ずしもそうでないと思います。
あらかじめ決まっている結論に導くということがゴールになることもあると思いますが、今回の場合はファシリテーターが結論を用意すべきではないと思います。
話しあいを行うメンバーたち自身が議論して納得して結論を出さなければ、やらされ感だけが残ります。
最後に、これは個人的な反省ですが、相変わらず場の空気を読んでしまってなかなか反対意見を言い出せませんでした。
このあたりは直していきたいです。